「確か4年生か5年生ぐらいだったかなぁ。

突然朝、谷口が先生に呼び出されて、

他何人かと一緒に廊下でメチャクチャ怒られてたんですよ。

あとで事情を知ってそうな他の子に聞いたら、

毎日のように、学校からの帰り道に谷口含め4人の男子が同じ通学団の女の子を執拗にイジメてたって。」


「“帰り道”ということは、
同級生の女子って事ですか?」


「そうですね。

初めはランドセルを叩いたり、
わざとぶつかりながら歩いたりって、

悪ふざけみたいなノリだったのが、

段々とキックしたり肩をパンチしたりってエスカレートしたみたいです。」


「・・なるほど。
それを下校時限定で仲間3人と一緒にやっていたのか・・・。」


「多分、朝は上級生や下級生達と、

みんな固まって登校するから何もしなかったんじゃないですかね。

今思うと卑怯なやり方ですよね。」


「イジメが発覚したのは、
その女の子が先生に言ったからですかね?」


「多分そうだと思いますよ。

先生に叱られていた時にその子も先生の隣にいた気がするので。

最終的にその子に4人が謝罪して、

その後は何も起きなかったからイジメは無くなったはずです。」



「谷口とその事について話したことは?」


「いやぁ・・当時は無かったと思います。

みんな“谷口君もそういう事するんだ”
って一時期避けてましたから。

本人は別に普段通りでしたけどね。

だからいつの間にかみんなその事も忘れて、

気付いたらまた一緒に遊んだりしてました。」