プロローグ





真夏の日射しが照りつける中、

車から降り、しばらく待っていると1人の男が扉を開けてこちらに歩いてきた。


俺が立っている事に気付いた様子だったが、

敷地を出て回れ右をすると、

今まで中に入っていた建物に深々と一礼してから俺の所にやって来る。



「小室さん、お務めご苦労様でした。」


「・・・真田さん・・・
来て・・くれたんですね・・。」


「俺の仕事はあんたのような人間を捕まえて一旦終わる。

だけど、そういう人間が刑を全うしてシャバに戻ってきたら・・また始まる。」


「・・・・はい・・。」


「もう・・戻ってきちゃダメですよ。

“他人の物を盗んではいけない”
“落とし物は交番に届ける”

子供でも知っている事なんだから。」


「この手癖は・・止めようと思っても止められない・・でも・・今度こそ・・立ち直ります。」


「うん。じゃあ家まで送っていきますよ。」