うーん…


今にも唸り声が出そうなほどに千星は考え込んでいた。

あの時感じた気持ちについて。


考えても考えても全くわかんない…なんだったんだろうあれ。教育実習生の佐伯先生の顔を見た時に込み上げてきたけど…今はなんともないんだよね


授業中にもかかわらずそんなことを考える。
完全に上の空である。


そんな心情を知ってか知らずか

「はーい、ここテストに出ますからねー。ボーッとしてる人、特に気をつけてくださいねー」

などと発言する先生とバッチリ目が合ってしまった。

クラスの人たちがクスクス笑っているのがわかる。


あぁぁもう!!授業内容も頭に入ってこないし!ボーッとしてるの気づかれるし!みんなにまで見られるし!はぁ…早くお昼休みにならないかな…麻耶ならこの気持ちの答え、知ってる気がする。頭いいし


そこで茜音の名前が出てこなかったのは、つまりそう言うことである。