「おい。」

「なんだよ」

「美穂ちゃんとなんかあったのかよ」

「は?」

「は?じゃなくて。全然話してないだろ?」

「……あぁ」

「……お前、まさか、まだ未来の事言ってないのかよ」

「言えるわけないだろ。
未来への気持ちがあるのに美穂と付き合ってるなんて…」

「でも今、この場所に、未来はいないだろ!!」

「いるだろ!」

「は?」

「未来は俺の中にずっといるんだよ!」

「いい加減現実みやがれ!」

「…っ!」

「未来が死んだのはお前のせいじゃない!
飲酒運転したやつが悪いんだろ!
あの時未来がなんて言ったのか俺にはよくわからないけど、それでも、お前のせいじゃないだろ?」

「俺が引き止めていれば未来は助かったかもしれないだろ!」

「未来は今のお前を見てなんていうと思うか?」

「え?」

「少なくとも好意は抱かないと思う。」

「は?」

「未来が好きだったのは、純粋で、明るくて、ポジティブな理久だろ?」

「…っ!」

「うじうじして、過去にすがってるやつなんか好きなやついるか??」

そうだ、こんなの俺らしくない。

「今のお前には美穂ちゃんがいるだろ?」

そうだ、俺には美穂がいる。

「そんな言ってるなら俺が美穂ちゃん貰うからな」

「え、」

「お前に言えてなかったけど、俺、美穂ちゃんが好きだ。
遊びじゃなくて。割とガチで。」

「は?」

「お前がうじうじしてるなら俺が美穂ちゃん貰う。」

「おいっ!」

「なんだよ、」

いや、俺には引き止める資格なんてない。

何も言えず、ただ立ち尽くしていた。
美穂、美穂は俺といるより陽平といた方が幸せか?