「お姉ちゃ~ん。」

ヨシヨシって頭を撫でたら

小さい頃お父さんに怒られて、慰めていたことを思い出す。

この数年なかった時間。

与えてくれたのは……やっぱり先生だね。

「あの…私…千尋さんとお付き合いさせていただいてます……
黒崎和也と申します。
高校で数学を教えています。
一昨年は……その…千尋さんの…担任をさせて頂いておりました。
正直……私は……
ご挨拶に来れる立場では…ないのですが……
お叱りを覚悟で……お邪魔させて頂きました。
千尋さんとは
結婚を前提にお付き合いさせて頂いております。
今はまだ学生なので…
学べることは学んで欲しいと願ってますが、
卒業して落ち着きましたら…
結婚のお許しを頂きたいと思っております。
大切なお嬢さんをお預かりしておきながら
申し訳なく思いますが…
一生をかけて大切にしていきますので…
交際を認めて頂けないでしょうか?」

頭を下げる和也さんと

ため息をつくお父さん。

どれくらいの沈黙だろう。

長いような……短いような時間が過ぎた頃