「ごめんね。……びっくりさせて。
……だって嬉しくて。
尋ちゃんが連れてきた彼氏を、お父さんとお母さんが
心配してるのも…
尋ちゃんがお父さんと向き合って喧嘩してるのも…
お母さんが間に入ってオロオロしていることも。
家族だなぁ~って思ったら可笑しくて。
嬉しくて…幸せな気持ちになったの。」

「唯……。」「お姉ちゃん。」

「お父さん。
尋ちゃんの彼……和也さんは…
尋ちゃんのことを本当に大切にしてくれてるよ。
唯に先生がいてくれたように…
尋ちゃんに和也さんがいてくれたから…
乗り越えられたんだよ。
高校生と先生って……
それも担任の先生って…
初めは私もびっくりしたし…反対だって思った。
でもね。
一番大変な時期に……そんな大変な恋をしてたのに…
3年間学業も疎かにしないで、頑張って卒業したんだよ。
前に一度
和也さんと尋ちゃんは別れようとしたの。
先生として、尋ちゃんの学校生活を見守りたいから。
自分との恋愛よりも
もっと広い視野で周りを見て、沢山の経験をして欲しいからって…
それくらい尋ちゃんのことを大切に思ってる人なんだよ。
尋ちゃんは口下手で、お父さんに似てるから
ちゃんと気持ちを伝えられないけど
唯と同じで……淋しかったと思うの。
もしかしたら、唯より小さい分…ホントはもっと不安だったかも…。
唯だって…お父さんやお母さんのこと
信じたいのに、何を信じていいのか分からず……不安だった。
尋ちゃんはもっとだよ!
それでも尋ちゃんが、勉強も部活も頑張ってこれたのは
彼のお陰なんだと思うよ。
お父さんとお母さんには…分かってあげて欲しいから…
頭ごなしに怒らないで……
ゆっくり話しを聞いてあげて……。」