「ねぇ~唯ちゃん。兄貴に合って嬉しかったって言ったよね?
だったら…今度オレの実家に遊びに行く?」

えぇ!!

ムリムリムリムリ………。

ブンブン首を振ってたら「嫌?」って…

嫌って言うか、実家でしょう??

お父さんやお母さん……家族の人がいっぱいいるよね?

「唯ちゃん、アルバム見たいって言ってたよね?
オレの、全部あっちに有るんだけどなぁ~」

えっ!アルバム⁉

……………見たいかも……

思わず、誘惑に負けて悩んでたら

「う~ん。可愛い‼」って頭を撫でられた。

「先生、実家って…。
さっき"結婚を考えないと連れて行かない"って
…言ってたよね?…」

「うん、言ったよ。
唯ちゃんは、オレとの将来って…考えられない?」

顔を覗き込まれてドキドキする。

先生との将来。

さっき"良い奥さんになれるよ"って言われて喜んだのは……

将来を考えたことになるのかなぁ??

「将来は…よくわからないけど…。
先生と離れるのは……………嫌です。
ずっと一緒にいたいなぁ~って…思ってる……。」

「あぁ~むっちゃくちゃ可愛い‼」って

先生の胸に引っ張られて、ギュッと抱きしめられた。

うわぁ!!

先生といたら…心臓止まるかも……。

「オレはずっと唯ちゃんといるよ。
実家のことは…結婚とか難しく考えないで、気が向いたら遊びに行こう。
さっき兄貴も言ってたけど…
つい色々喋り過ぎちゃって…"逢わせろ"って煩いの。
今まで女の子を連れて行ったこともないし、彼女のことを話したこともないからね…
いつかまた、アルバム見に行こう。」

先生の胸から解放されて、ホッとしたはずなのに…何だか淋しくも感じる。

もう少しこのままでも良かったなぁ~

名残惜しくて…先生を見つめたら

「よし!買い物に行こう!」って

急に立ち上がって、出掛ける用意を始めた。

えっ⁉買い物??

先生の変わり身の早さに驚いていたら

「男の子は…色々大変なんです。」って笑ってた。

「まだ時間大丈夫だよね?
車も帰って来たから送って行けるし、もうちょっと一緒にいよう。」

……それはいいけど…何故、買い物??

「今夜の夕ごはん……カレーが良いなぁ~」

あっ!そういうことかぁ~

ニッコリ笑って「チキン?ビーフ?シーフード?」って聞くと

「ビーフ!!ちょっと辛めが良いなぁ~
あっ!半熟たまごをのっけてね!」って。

先生、ご飯になると子供みたい。

近くのスーパーで買い物をして、対面キッチンでお料理して…

二人で食べたご飯は、やっぱりとっても美味しかった。

先生と過ごす時間がこんなに楽しいから…

この後もずっと幸せは、続くものだと思っていたのにな……。