キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~

結局

お風呂から上がって直ぐに、宴会が始まって

航君の誘いは、流れてしまった。

夕食は、大広間で貸し切り。

浴衣姿の先生が園長先生の隣で、"乾杯"の音頭を取って

次々にグラスの重なる音が響いた。

今日は泊まり掛けだからか、皆飲むペースが早い。

先生も…次々お酌されて、グラスを空にしていく。

あぁ~あ。

唯も先生の近くに行きたいなぁ~

四人の恋ばなを聞いていたら

「先生、ど~ぞ。」って

ビールを片手に航君が隣にやって来た。

「あっ!……」

断ろうと思ったら

「ちょっと!!ここは咲の席だよ!!
今日は、唯先生といっぱい話すんだから邪魔しないで‼」って

咲ちゃんが隣に割り込んできた。

「ねぇ~先生。
今日は咲といっぱい飲んで、仲良くなりましょうねっ!」

ちょっぴり酔っぱらい気味の咲ちゃんに、抱きつかれて困っていたら

「オレのビール。飲んで下さいよぅ~」って

航君にも詰め寄られてしまった。

う~ん……。

困った唯の後ろから

「はいはい!
押さない、押さない。
唯ちゃんを構いたいのは分かるけど………ダメ~!!」

「そっ!!
この子はうちらのオモチャだもんね。」

「アルコールなんて!もってのほか!!
飲んで欲しかったら、カルピスかお茶を持っておいで!」って四人が庇ってくれた。

ホッとしたのもつかの間で…

お茶を片手に、サッサと戻って来る二人。

助けてくれる四人と

迫って来る二人に囲まれて……

ここはちょっとした………押しくらまんじゅう。

あ~ん。

これだと…先生のところにお酌にも行けないよぅ。

先生は、園長先生と楽しそうに談笑中。