キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~

夕方ホテルに帰って、各部屋に移動。

先生は、園長先生や航君と一緒みたい。

唯は、夏苗ちゃんと梓ちゃんと三人で

海晴ちゃんと彩ちゃんは、後輩の咲ちゃんと一緒の三人になったの。

荷物を下ろして、直ぐに温泉に。

六人で移動してたら

お土産屋さんのところで、先生と航君を発見。

「あぁ~先生!今からお風呂ですか?
私も先輩達にお邪魔して、今から入るんですよ。」

今日一日、航君と先生と三人でまわった咲ちゃんは

すっかり先生になついちゃって……。

「あぁ~あ。」

「ほら!話しておいで。」

「咲ちゃ~ん!お風呂行くよぅ~」

四人が気を使って、せっかくチャンスを作ってくれたのに…

どうしても声がかけられない。

何故か、先生との間に…壁を感じて。

いつもみたいに"おいで"って…

一言言ってくれたら行けるのに…

戸惑っていたら

「先生。お風呂が済んだら……
少し散歩に付き合ってくれませんか?」って…

頭の上で声がした。

………振り向かなくても分かる。

………………………航君だって………。

だって…先生は唯の前を歩いてるんだもん……。

「おい、行くぞ……。」

先生は振り向くことなく…航君にだけ声をかけて

……どんどん遠くなって行った。

「じゃあ、後で。」

航君も軽く会釈して、唯の横を通りすぎて行く。

………………淋しいよ………。