キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~

「先生は??」

「オレ?
オレが唯ちゃんを置いて行く訳ないでしょう?」

「あっ、ごめんなさい。
せっかくの休憩なのに…。
もっと早く起こしてくれても、良かったんだよ。」

「う~ん。結構起こしたんだけどね。
中々起きないから、諦めて寝顔を見ることにしたの。
すやすや気持ち良さそうに寝てて……可愛いかったよ。」って

クスクス笑ってる。

うぅ~恥ずかしい………。

「ねぇ~唯ちゃん。
何処か、歩いてみる?それとも、二人でここにいる?」

「どっちも無理です。
……先生、ホントにダメなんです。
唯も一緒にいたいけど…
クビになって、一緒にいられなくなると怖いから。
帰ったら、今度はちゃんとデートするから……。」

「……やっぱり、この一週間……わざと合わなかったんだぁ~」

「あっ……うん……。ごめんなさい。
ほっぺでも……やっぱり冷静になると……恥ずかしくて…。
顔を見る勇気がなかったの。」

「口にして良いよって言ってたのに??」

イタズラっ子の顔で、笑ってる先生。

ホント…………意地悪。

「あの時は…必死だったから……………。
でも…家に帰って、思い出したら急に……。」

「一週間無視されて、淋しかったなぁ~
意味が分からず、会ってくれないって………」

そうだよね……。

意味が分からず断られたら……不安になっちゃうよね…。

自分の事ばかりで、先生の気持ちをまた忘れてた…………。

「ごめんなさい。また、勝手な事しちゃってた。」

「うん、良いよ。
ホントは、唯ちゃんの気持ち……想像できてたから。
お仕事、進んだ?」

「はい。お仕事を早く終わらせたかったのはホントだから
頑張って、残り1つです。」

「それなら、ゆっくり遊ぼう。偉かったね。
だったら…
明後日は…一緒に食器を買いに行こうかぁ~
せっかく家に来ても、ジュースもお茶もマグ1つだと
洗い物ばかりで時間がなくなっちゃうもんね。」

うん、嬉しい!

ニッコリ笑ったら…

「あぁ!この笑顔を見て、我慢するのって………つらい~
ねっ!ほっぺにチュウは、オッケーにして。」って顔を近づけてくる。

「だから、"唯ちゃん"って呼ぶのも、ほっぺもダメです。
この2日間は、プライベート禁止。」

「えぇ~。
だったら、明後日以降はデートしてほっぺ有りにしてね!
後、何でも1つ言うことをきいてくれること!
ワガママ姫様に合わせて、淋しい旅行になるんだから
オレのワガママもね!」

「えぇ~。唯ばっかり~。」

「そりゃ~九州まで来て、オレ…一人ぼっちだもん。
それに、この間の海で"何でも言うこときくから、岸に帰って"って言ってたよ!」

う~ん………そう言えば…………。

でも…何だかズルい。

非難の目で見ていたら……

「じゃあ、2日間あまり近くにいられないけど楽しもうね!」ってニッコリ笑って降りて行った。

そっかぁ~

せっかく一緒に旅行に来たけど、近くで楽しめないんだぁ~

自分で言い出したことなのに…

何だか淋しいなぁ。