「ところで唯ちゃん、さっき三人に"オレが下心でプロポーズした"って
言われたって言ってたよね?
あれ聞いて、どう答えたの?」

あれっ??たしか………優しい先生が……いたはずだよね??

どうして…急に……いじめっ子の顔になってるの??

「えっ……あっ……あの……ですね……。」

焦って思わず敬語になる唯に

さっきとは違うニッコリ笑顔で

「な~に?」って…

「あの…ごめんなさい……。」

「何がごめんなさい?」

「あの…三人に言われて……ちょっとだけ信じちゃいました……」

はぁ~っ……

長いため息の後

「唯ちゃんは、そんな風に思ってたんだぁ~」って

拗ねた顔をこっちに向ける。

「あっ…あの…それは。
この間から三人に『キスした?』って…からかわれてて
"してない"って…答えたら、『ずっとしたくないの?』って聞かれて。
"分からない"って答えたら…
『先生が可哀想』『付き合う意味がない』って…
結婚を考えるなら当たり前で、先生も期待してるって…
………それで…やっぱりそうなのかな?って思って。
…………………………………。
あの…前にキスされそうになって、別れたって言ったでしょう?
もちろん、それだけが原因ではないけど…きっかけにはなって。
先生とはずっと一緒に居たいって思ってるけど…
キスとかは、考えたことなかったから……。
結婚するって…キスやそれ以上のこともって言われて…
信じたっていうか……驚いて……。
唯の考えてた結婚って…おままごとみたいなことだったのかな?って…」

「唯ちゃんは、嫌?」

「えっ??」

「キスとか…考えられない?」

「あっ…あの…嫌とか考えるとか…っていうか…。
えっと…嫌?……なのかなぁ??あっ…えっと…あぅ……」

焦ってる唯を、クスクス笑いながら

「俺は…男だし、下心がないかって聞かれたら…普通にあるかな?
別に、キスとかエッチっていう具体的なことではなくてね。
淋しそうな顔をしたり、逆に四人と楽しそうに笑ってたりしたら
"愛しいなぁ"ってギュッと抱きしめたくなるよ。
ただね、キスとかその先は一人でするものじゃないから
唯ちゃんの気持ちが育つまで、待つつもりだよ。
プロポーズだって、したいからなんて考えてないし
もしあの時OK をもらって結婚したとしても、唯ちゃんの気持ちが育つまで
やっぱり待ってたからね。
四人は面白がって色々からかうだろうけど、オレの気持ちを信じてね。」

先生は、どれだけの愛情で包んでくれるつもりなのかなぁ?

こんなにワガママを許してもらっていいの?