「おかえり。お疲れさん。」

「先生、ありがとう。」

ねぇ~先生。

唯っていつも"ありがとう"ってお礼ばかり言ってるね。

きっとそれだけ、大切にしてもらってるってことなんだよね。

助手席から見る、家までの風景は…

もう、見慣れたものになっちゃった。

……先生の隣に座ることも………。

こうやって、少しずつ先生の隣が唯の居場所になるのかなぁ?

「先生。先生と唯は…最後の恋?…いつかずっと……一緒にいるのかなぁ?」

「そうだなぁ~。
先のことは絶対とは言えないけど。オレはそのつもりで…プロポーズしたよ。
唯ちゃんの気持ちもあるから分からないけど
いつか唯ちゃんが"結婚したい"って思ってくれたら…
もう一度、プロポーズするつもりだよ。
一昨日のは……"真剣な練習"って……受け止めてくれる?」

「うん。
あのね…唯……先生との結婚が嫌な訳じゃないの。
ホントに嬉しかった……………。
唯も…先生とずっと一緒に居たいって……思ってる。
ただね、お仕事は…やっと夢が叶って…まだやりたいなぁ~って。
それに……………
今の唯って…ホントに子供で…先生の奥さんになる自信がないの。
今すぐ結婚しても…唯は先生に守られて、淋しさも知らずに
幸せに過ごしていけると思うけど……。
唯は、甘えるだけの奥さんで…何も出来ないことが辛くなる気がするの。
もっとしっかり自分の足で立ててから、先生のお嫁さんになりたいなぁって
ホントは…こう言ってることが、甘えてるんだけど。
先生とは、両親みたいになりたくないの。
ずっとずっと一緒にいたいから…待っててもらっていい?」

「うん、いいよ。何年かかっても…待ってるから。
たまに他の奴に取られないかって焦ったりするけど…
結婚そのものには焦ってないから安心して。
付き合うことに消極的だった唯ちゃんが、これだけ真剣に考えてくれて
ホントに嬉しいから。
唯ちゃんの気持ちを最優先するから、ゆっくり考えてね。
…………ただね、
もしもホントに淋しくなったら、いつでも言ってね。
それで結婚するのはズルいとか逃げてるって考えないこと。
幸せになるために、結婚するんだからね。」