いつもは、うちに帰ってから掛ける電話。

でも、今日は帰りながら掛けてみた。

「もしもし…先生。」

「あれっ?まだ帰り?……何かあった??」

心配そうな声。

一昨日のこともあるし…心配させちゃった??

「えっ?何もないよ。今、彩ちゃんのところからの帰り。……今日も楽しかったよ。」

「そう??」

まだ心配してる。

「うん。何もないよ。……ただ、早く声が聞きたかったの。」

「えっ!もしかしたら、淋しくなった??」

やっぱり心配してる先生に、可笑しくなって、いつもは絶対言わない言葉…

「違うよ。ホントに元気だよ。むしろ、スキップしたいくらいだもん。
ホントに先生の声が聞きたかったの。
……あのね。
先生のこと……大好きだなぁ~って思ったから」って言っちゃった。

クスクス笑う唯に、まだ不思議そうな先生が

「酔ってないよね?迎えに行こうか??」って

「飲めないもん。酔ってません。
一人で帰れるから、大丈夫だよ。でも、電話は付き合ってね。
………今ね、四人に一昨日のことを話しちゃったの。」

「えっ?プロポーズ?」

「うん。」

「あぁ~やっぱり。」って笑う先生。

ホントだぁ~。

四人に話すって分かってたんだ。

先生も彩ちゃんも…やっぱりエスパーだねぇ。

「……で?四人は何て??」

「あっ…うん。…あのね、一昨日先生が"結婚を前提に"って言ったでしょう?
唯には、今までとこれからの違いが、よく分からなくって…聞いてみたの。
そうしたら、
始めはからかわれて"先生はエッチをするつもりだよ"とか"下心でいっぱいだよ"って言われたんだけど…。
彩ちゃんが
"先生は、最後の恋だよ、一緒にいようね"って伝えてるんだよ。
って教えてくれたの。
そうしたら他の三人も
"先生に大切にされてるんだよ""愛情の深さだね"って沢山教えてくれて。
そうだなぁ~幸せだなぁ~って思ったら
急に先生のことが恋しくなっちゃって。」

「ねぇ~唯ちゃん。もう駅に着いた?」

「えっ?ううん…後少しだよ。」

「だったら、駐車場においで。待ってるから。」

どうして?

心の声は、口から漏れてたみたいで…

「声だけより、顔付きが良いかと思って。
おまけに、あんな可愛いこと言われたら…オレの方が逢いたくなるよ。
着いたね。乗っておいで。」って助手席を開けてくれる。