キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~

ソファーに座り直して10分。

再びリビングに現れた先生は

いつもに増して大人っぽく……本当に似合ってた。

「カッコいい……………。」

ほぅ~っと息を吐きながら洩らした一言に

唯と先生を…交互に見比べて吹き出す人達。

「愛されてますねぇ~」

「毎日浴衣で過ごしたら?」

「お正月には、着物を用意しておくわね!」って。

さすがの先生も耳まで赤くして

「お待たせ、行くよ。」って強引に手を引いて立ち上がらせた。

さっさと歩き始める先生に

「ちょっと待って。」って、お母さんが呼び止めた。

「はい、これ。
悠人に着付けを頼まれてから、楽しみで買いに行っちゃったの。」

そう言って差し出されたのは

ピンクの桜柄が可愛い巾着袋。

「ここに沢山、思い出を詰めてきてね。」

「あっ…あの……」

戸惑っていたら

「貰ってやって。」って先生に言われて頷いた。

「ありがとうございます。嬉しいです。」

まさかこんなサプライズまで、用意してもらっていたなんて。

心からお礼を言ったら

「今日はこのまま帰るから。」って

「ええっ!!みんなでご飯、食べたかったなぁ」

残念そうなお母さんに

「今日は外で色々食べるから。また近いうちに二人で来るよ。」って

パッと笑顔になったお母さんは

「唯ちゃん、今度は3人でお料理しましょうね!楽しみにしてるから。」

「唯ちゃん、次は3人でショッピングね!男達は留守番させて。」って

美香さんも笑ってて。

また次もあるんだぁ~って嬉しくなった。

玄関まで手を引かれて行く唯に

「悠のヤキモチが見れて楽しかったよ!またおいで。」って

お兄さんに耳打ちされちゃった。

「お邪魔しました。ありがとうございました。」って、もう一度お辞儀をすると

「悠人のこと、お願いね。また遊びにきてね。」って。

お母さんもお兄さんも美香さんも……大樹君も…。

みんな先生の事が大好きで大切なんだなぁって…。

先生が優しいのは…

こんなに温かい家族に囲まれてるからなんだね。

唯もいつか……ここに仲間入りできるかな?

出来たらいいなぁ~。

色んなことを思ったら……

ジンワリ瞳が潤んできちゃった。

「また泣くぅ~」

ポンと頭に乗せられた、手の重みに幸せを感じていたら

「あらあら。」ってお母さんがポケットからハンカチを出して渡してくれた。

………どこのお母さんも一緒なんだなぁ

「ありがとうございます。幸せだなって思ったら……」

何となく別れを惜しんでいたら

「もう!せっかくのお化粧が落ちちゃうじゃない。泣かないの。」

「ほらほら、花火が始まるよ。
俺達も大が起きたら連れて行くから」ってお兄さん達に促された。

助手席から笑顔で挨拶すると

先生も小声で「ありがとう。」って呟いた。