キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~

大樹君をそのまま抱き上げて

「ごめんね。お盆を返しに行くから…一緒に着いてきてくれる?」って

抱っこしたままキッチンに移動したら、先生の舌打ちが聞こえた。

「唯ちゃん、おばあちゃんのお手伝いしてたの?えらいね!」

お母さんにお盆を返すと

「大はすっかり唯ちゃんになついたのねぇ。
でも大、唯ちゃんが重いから降りなさい。」

「いや~。
ねぇ~おばあちゃん。今から唯ちゃんとお部屋で遊んでいい?」

「ええっ~。おばあちゃんも唯ちゃんとお話がしたいのにぃ~。
それより、唯ちゃんと一緒にケーキを食べましょう!」

「食べたら遊ぶ~」

「ダメに決まってるだろ!!
食べたら着替えて花火に行くから忙しいの!!」

突然、頭の上から声がして

見上げたら"不機嫌です!!"って表情の先生が大樹君を睨んでた。

「遊ぶの!ねぇ~唯ちゃん。遊ぶよねぇ~」

「あらぁ~。唯ちゃんはおばあちゃんとママと3人でおしゃべりするのよぅ~」

「花火に行くっていってんだろ!」

3人、三様で………困っちゃう。

キョロキョロ見比べていたら

「あぁ!!大~ここにいたのねぇ。あっ!拓も。探したじゃない!!
あっ!唯ちゃんね!!初めまして。
大の母で拓の嫁で…悠の姉です。あっ、でも!『美香さん』って呼んでね。
あぁ!やっぱり『お姉ちゃん』って呼んでもらおう!
ずっと妹が欲しかったんだもん!ねっ!」

………もちろん、お姉ちゃんとは呼べないけど………

「初めまして………伊藤 唯です。………」

挨拶を始めたのに

「大!唯ちゃんが重いでしょう!降りなさい!
あっ!お母さん、今からお茶ですか??
わぁ~。ケーキもある!!美味しそう!
さっ!!唯ちゃんも行こう!」

……………あの………挨拶………

どうもこのお家の人達は……

唯に挨拶をさせてくれないみたい………。

どうしようって先生を見たら

『仕方ないよ。』って笑ってた。