キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~

「……ゆうとのけち…………。」

小さい声で言ったのに……パッと表情が明るくなった。

「初めての呼び捨てが『ケチ』って…」ってケラケラ笑ってるのに、嬉しそう。

こんなことが大事件の二人の恋は、やっぱりかなりのスローテンポ。

先生の年齢や経験を想像したら、これで喜んでくれるのが可笑しくて

クスクス笑っていたら、先生もつられたみたいで

楽しくなってきて、声をあげて二人で笑っちゃった。

抱っこしたままオデコをくっつけて笑ってる二人は……

誰にも負けないバカップルだね!

先生と出会って……雪が溶けるように心がだんだん温くなって。

今は……夏の日射しのように…眩しくキラキラした時間を過ごしてる。

恋をする楽しさも、誰かと一緒にいる喜びも……

全部先生から教わったね。

先生は…

やっぱり唯にとって、誰よりも尊敬する先生だよ。

頭のてっぺんに手を置いた先生は…

「熱っ!!」って言いながら立ち上がり

「唯が熱中症になる!!」って大慌てで車に連れて行って

クーラーをつけて助手席に座らせて……ジュースを買いに走ってくれた。

「いつも園庭で遊んでるから大丈夫だよ!」って言うのに

すっかり過保護な保護者に変身した先生は……

クーラーボックスから保冷剤を出して、オデコに当ててくれたりと……

彼氏から先生に戻ってた。

それでもやっぱり、先生は彼氏で……

ジュースは1本だけしか買ってこなかったの。

「半分こね!」って言いながら……

唯に先に飲ませてくれる、優しい彼氏に

一口飲んで「唯もまだ飲みたいから……残しておいてね!」って一言。

先生は…そんな唯に満面の笑顔で「了解!!」って返してくれる。

カメよりのろい唯のスピードに合わせてくれる貴重な人。

それでも……唯には刺激的な夏休みだよ。

片思いしてこっそり見て、ドキドキしてたのが………半年前。

あれから……デートしたり鍵をもらったり、お泊まりや半分こ。

今日なんて名前で呼んだりお家にお邪魔したり……

ほんのちょっとの間で…沢山の経験をしたよ。

これからの事を考えると……

ドキドキするけど、ワクワクもしてるんだぁ。

怖いけど……一人じゃないからなんだろうね!