キンダーガーテン 二   ~優しい居場所に~

「先……悠君!……ギュッとすると……暑いなぁ~」

汗をかいて着付けなんて……最悪だもんね。腕をほどいてもらわないと。

腕を外すと潮風が心地いい。

う~ん!!生き返る。

甘えついでに、そろそろ車に帰りたいなぁ

「悠君!ジュースが飲みたい。………車に行かない?」

せっかくのデートを切り上げちゃうから、不機嫌にならない?って心配して顔を見ると……

とってもご機嫌!

…………??………?

何がそんなに嬉しいの??

「いやぁ。悠君っていうのも……案外いいねぇ~
学生に戻ったみたいだよね。」

なんだか名前にこだわるなぁ~

あれっ!!

もしかして……懐かしい呼び名なの??

高校生の時、彼女にそう呼ばれてた??

ご機嫌の先生に半比例するように、ブルーになっていく唯。

「先生、高校生の時…みんなに"悠君"って呼ばれてたの?」

あくまで、ヤキモチからじゃないよって分かるように"みんな"って言ったのに

一瞬キョトンとして………。声を殺して笑ってる。

もう~だから……違うのにぃ~

それでもやっぱり答えが聞きたくて

「ねぇ~先生!」って急かすと

「高校の時から今まで、下の名前で呼んだことも呼ばれたらこともないよ。
照れ臭いからいつも名字だった。」

そう言うと、そっと近づいて……

「名前呼びは……唯だけ。」って……

…………唯…………………………

初めての呼び捨て。

心臓がキュッと音をたてた。

好きな人に呼んでもらう名前って……特別なんだぁ!!

先生が呼び捨てにこだわった意味が、初めて分かった。

『ちゃん』が無くなっただけなのに……とっても近づいた気がする。

直ぐに続けて呼べたら良いんだけど…まだその勇気が出なくて

申し訳なく思いながら……唯だけ幸せな思いをしちゃった。

「デートは満足してくれた?今度はゆっくり遊びに来ようね。
ここは家から直ぐだから…子供の頃よく来てたんだ。
坊主頭のオレが、その辺走り回ってたよ。」

「ええっ!見たかったなぁ。だったらアルバ……」

「見せないよ!」

「ええっ~どうして~!!」

「恥ずかしいもん。今度唯ちゃんのアルバムを見せてくれたら考える!」

それは……恥ずかしいかも………