人生って…そんなに甘くは出来てないみたい……。

ほんの少し前まで…窓から見える空は、キレイな夕焼けだったのに…

いつの間にか、真っ暗な夜空に変わってた。

「明日こそ植物園に行こうね。朝10時に迎えに来るよ。」

「今日は楽しかったです。
先生、ありがとう。また明日!」

淋しさを見せないように、ちゃんと笑えたかなぁ?

ニッコリ笑っていつもの挨拶を済ませて

車を降りようとシートベルトに手を掛けたら、玄関のドアが開いたの。

あれっ?尋ちゃん帰ってた?

視線の先には…お父さん。

あっ‼そっかぁ~。今日は、会社の人が来てたんだった。

「もう少し時間潰す?」って聞かれて、"うん"って答えようとしたら…

………お父さんの後ろから…女の人が……。

…………?……その人が…会社の人??

……女の人………一人なの??……………。

戸惑ってる唯なんて、気づかないお父さんは…

その人の肩を抱いて、自分の車に歩いて行く……。

恋を知ったから………気づけた事………

とても………親しそう………………………………。

気づきたくなかったな。

…………………………………………………。

ウソ?……………嘘だよね……。

…………ウソ…………………。

ただの会社の人だよ。

そう自分に言い聞かせるのに………

目の前を歩くお父さんは

唯の知らない男の人の顔をしていた………。

…………ホントに………お父さん?……。