「ねぇ~唯ちゃん!あの後どこに行ったの??」

「ねっ!ねっ!キスした⁉」

昨日、後輩の航君に気を許し過ぎて…

………先生を怒らせちゃった。

先生は"男のヤキモチ"だからって、許してくれたけど

『先生のヤキモチ』で揉めた事を知ってる四人が

気にならないはずはなくて……

朝の掃除でバタバタしている唯の後ろを…

ホウキを持って追っかける、海晴ちゃんと夏苗ちゃん。

「もぅ~。掃除しないと怒られるよ。」

っていう唯の言葉なんて入らないらしくって…

「ねぇ~唯ちゃん。あの後、何処に行ったの??」

「……………初めて行った展望台……。」

「でっ!でっ!ねっねっねっ!!キスした!キス!!」

「うっ………。しないよう~」

「ええ~っ!!だって~もうすぐ半年だよぅ~!!」

「おまけに、昨日はあんなに激しくヤキモチ妬いてたのにぃ~!!
絶対、感情が高まって!って…なるでしょう~」

「ならないよう~。
それに…半年くらいでしないでしょう??
……………ふつう………。」

「はぁ~⁉
会ってその日ってのもあるのに~!」

「先生可哀想~!おあずけだぁ~」

大きい声の夏苗ちゃんの口をふさいで

「もぅ~。先生なんてダメだよ!
それに、声ももっと小さく!!
園長先生に聞かれたらクビになっちゃうんだから。」

焦ってる唯に平気な顔で

「大丈夫!たぶん、皆知って………うぐぐ……」

夏苗ちゃんの口は、海晴ちゃんに再び塞がれた。

ふがふが言ってる夏苗ちゃんを一睨みして

「それで唯ちゃんは、このまましないつもり??ずっと?」

ずっとっていうか…

だって………

「ねぇ~唯ちゃん。
別にキスとかエッチをしろって言ってないからね。
まだまだって思うのが、唯ちゃんらしいし……。
でもね、"いつかは…"って思ってるならいいけど…。
もし、ずっとしたくないって思うなら
…………付き合いは、止めた方がいいよ。
この先、愛が深まっていかないなら…一緒にいる意味ないからね!
昨日だって、二人の間に"彼氏彼女"の自信がなかったから…お互いの行動が不安になったと思うしね。先生だってきっと…。」

まだ何か言いたそうだったけど…

子供たちが登園して来たから話しが途中になっちゃった。

"先生だって…"

その続きは…何が言いたかったのかなぁ?

先生は「ゆっくりでいいよ」って言ってくれたけど

このままって訳にはいかないのかなぁ?

ゆっくりってことは…いつかはってことなの??

いつか…………う~ん………

正直、いつかって…………自信ない。

恥ずかしいのはもちろんだけど

口と口をくっつけるって………考えられない。

こんなだと…

朋君の時みたいに…先生も離れちゃうのかな?

……………………………。

………先生って…………キス………したいのかなぁ??…………

いつか…嫌だって…思わなくなるのかなぁ?

海晴ちゃんがいう………愛が深まったら……。