「朝奈は本当に危なっかしい。」母が頭をなでる。膝には絆創膏、腕には湿布。痛い、痛いとよく泣きわめいていた。
高校生になっても様子はさして変わらないままだ。



 春になったと思えば既に暑さが襲ってきていた。
私立桜明高校。日が暮れ始める中、部活動は暑い熱い練習を行っている。


「うちってハンド部強いらしいね。」
部活体験のため、体育館へ向かう中、朝奈の中学からの親友 恵未がいった。

確かに、県大会優勝などの旗や賞状が多く飾られていた。
「てか。ハンドってどんなの?きつそうだけど。」
恵未の言うこともわかる。私も。
そう言おうとしたとき。地面が近づいてくる。
「あさ!」またか、という恵未の叫びを聞きながら諦め地面に直撃しようとしたとき



「あぶねー」声が聞こえた。男の子の声。