先が見えないーー。というか、いつになったら彼氏ができるのか全然分からない。

私は基本、彼氏なんていらないやと思ってしまう人間だった。だから24年間、一度も彼氏が出来たことがない。でも、最近何か変わらなくちゃなと思いはじめた。

豪雨の新宿の中を、私は歩いていた。病院の帰りに紀伊国屋書店に寄った後だった。

そうだ。折角なら暇を有効活用して占いに行こう。でも、有名店だからめちゃくちゃ混んでるかもしれない。

3人ーーいや4人並んでたら帰ろう。
私は自分の中でルールを決めることにした。

花柄のシャツの人がいたら帰ろうかな。いや、やっぱり人数にしよう。4人以上並んでたら、真っ直ぐ帰る。もし3人以下だったら、この際出会いがあるかどうか占ってもらおう。

4人ということは、ペアとペアで来ている可能性が高い。そもそも私は一人なんだし、一人で占いに来ている若い女子...なんて、側から見たらもしかしたらイタイ女に見えているかもしれない。
3人なら、誰かしら一人で来ている可能性が高い。それなら安心。
私はいつもこんな調子だ。

店に着く。
ーー2人。
超有名の算命学の店には、2人しか並んでいなかった。

少な...!!

と私は内心で呟く。こうなったら占ってもらうしかないだろう。

「次お待ちの方、おひとりですか?」
傘を差した店の女性が尋ねる。
はい、と答えると、算命学と手相どちらになさいますか、と言われた。
手相にします、
そちらの方が安いので。
もちろん、そちらの方が安い、とは言っていない。
かしこまりました、というと、その女性は私の後ろに並んでいるカップルの元へ移った。

私一人なんだけど、良いかなぁ...。
と思いながら、前の女性が店の中に入るのを見届けた。