ーーキーンコーンカーンコーン

授業が始まった。だが俺は集中ができなかった。
女からの視線はいつもの事だが、”佐藤美紅”が頭からどうも離れない。

あの居心地の良さや美紅が笑った時の動揺…

友達が好きな女を語るときに言ってた反応とぴったし合ってしまう。

けど、俺が恋なんて……

ーーブンブン
辞めだやめ!今は仮にも授業中だ。
集中しなくては
俺は全力で首を横に振った。

「…うさん」 「ゆう…ん」 「優さん!」

「はい!」し、しまった、、、

「~~~~を訳してください。」
「は、はい」

と言って机に視線を戻す。
げっ、教科書開いてない。必死にコソコソと教科書を出し始めると

「今日はどうしちゃったんですか、優さん。
青春真っ盛りで浮かれるのは構いませんが学習とのけじめはきちんと付けてくださいね」

そう言われて自分の顔に熱がこもっていくのを感じる。

「す、すみません」

教室の隅では女子がこそこそと喋る声がする……