俺は、宮野優。勉強も別に嫌いじゃないし、自分で言うのもなんだが成績も悪くは無いと思う。スポーツは逆に好きな方だ。中学二年生。

「( 〃∇〃)ツ キャーーーッ♡宮野くぅーん!」

はぁ、また出た。
ちょっと廊下を歩くだけでこのザマだ。
結局は顔しか見てないくせに、ハッキリいって迷惑だ。

「宮野くぅーん、これ受け取って下さい!」

「…どうも。」
毎日のようにこんなもんばっかで、ホントどっと疲れる。

ーードンッ

「キャッ」

げっ、なんだよ、不運続きかよ…

「すいません。」

女子には話しかけるだけで騒がれるから本当は嫌なんだけど、常識には逆らえねぇーし。

俺はヤレヤレといった気持ちで気だるく謝った。

「いえ、こちらこそすみませんでした!」

……は?いや、ここはあれだろ?
頬を真っ赤にさせて、「えっ、宮野くん♡」とか
「ヤダ、運命♡」とか、
訳の分からないことをほざくんだろ?

「あの、お怪我はありませんでしたか?」

なんだよこの女…こんな女もいんのかよ
調子が狂うんだけど。。。

「いや、別に……」

「そうでしたか、ほんとにすみませんでした。
では!」

は?え? ちょっ!

ーーがしっ 「待って!」

「え…。あ、あの…?」

ーーハッ
何してんだ俺…けどなんか本能的にここで別れたらダメな気がして……

「な、名前!君、名前なんて言うの!」

「へ?」

「へ?」って…
いや、急に聞いた俺も俺なんだけど…

「だから名前…」

「あ、すみません!えと、佐藤美紅です。」

美紅…か。ぽいな…

「俺は宮野優だ。」
なんて、律儀に名乗ちまったけど女に名乗るとか何気に初めてだ。

「フフッ(✿´ ꒳ ` )自己紹介ですか」

ーーーーードキッ

俺は不意打ちに見せた美紅の笑顔に動揺を隠せなかった。

な、なんだよ、コレ……


「美紅ー!もう!遅いよー」

「あ、由美。ごめんごめん( ̄∇ ̄*)ゞ」

そこへもう一人の女がやってきた。

由美?友達か。 と、同時にそいつと目が合う。

なんだ、目ん玉丸くして。

「美紅、ちょっと」
由美はそう言って美紅とふたりで何やらコソコソと話し出した。

幻覚か、みくの頭の上にハテナが見えるぞ。

数分後に目の前に戻ってきたかと思えば、
「あの…では、またどこかで」

「え?あ、ああ」

と言って由美とか言うやつと帰って行った。

な、なんだったんだ…

”佐藤美紅”か… しまった、クラス聞くの忘れたな

まぁいいか、あいつも「またどこかで」って言ってたし。
そう考えながら自分のクラスへと戻る。

教室に入ったと同時に騒がしくなる室内。

あ〜うるさい。そこでふと思う。

なんだかんだ言ってあいつといる時は心地がよかった……