それから教室へ戻った。


今でも考えていることは、ただ一つ。

未だにあの“ドキッ”っていう気持ちが分からないということ。
そして、その“ドキッ”は何のドキッなのか、と色々なことだらけだ。

「…く」 「…紅」 「美紅!」

その時ハッと我に返った。
あぶない、あぶない。

「どうしたの。ボッーーとして。あっ、もしかして宮野くんに“恋”しちゃった⁈」

まただ、“恋”その言葉は、しっくりこない。 ある意味、恋って何?また一つ疑問が増えた。
ーーキーンコーンカーンコーン

「授業始めるぞ〜みんな席つけ〜。」
始まっちゃった。

騒ぎ立てていた女子達が嘘だったみたいに静かになった。女子って何かすごいな。私も女子だけど…

私は、授業中だったけれど考え事で集中できなかった。
ーーキーンコーンカーンコーン
いつの間にか授業は終わっていた。
けれど、考え事は解決できずにいた。

「あー気になるーー」 と私がつい口に出すと 「どうしたの?」と心配そうに由美が聞いてきた。

「美紅、大丈夫?さっきからなんか変だよ。」
えっ。そんなに変だったの⁈気をつけないと…かな?

「もしかして、ホントに恋したの?」
へ? 「まっ、まさか!」
私は必死になって返した。
「その逆だよ」 「逆?」
由美が聞いてきた。

「そう、今考え事をしてて、“恋”って何なのか。」
と言って、由美の顔を見ると、口が開いて固まっていた。

「由美?」 と問うと、ハッという感じになった。どうしたんだ?

「美紅!恋もわからないの?じゃ、私が教えてあげる!」

「ちょっ、由美声がでかいよ、しー!しー。」

みんながクスクスと笑っている。
恥ずかしい#

「あっごめん!」
「それより、美紅恋っていうのはね、人を好きになる、異性を好きになるってことだよ。」

男の子を好きになる?そんなのあるわけない。

“恋”っていうのは、私にはまだ程遠いかな?

じゃ、あの“ドキッ”っていうのは何?