帰り道を3人で歩く。この時間ほど幸せな時間はない。
「和彩、今日病院まで一緒に行ってくれない?」
「ちょっと待ってね。お父さんに電話するから」
私の家は、父子家庭だった。お母さんは私が物心つく前に事故で亡くなった為、私にお母さんの記憶はない。そんな中で、紗南達の両親は私を娘のように扱ってくれている。
何回か呼出音がなった後、お父さんが出た。
『もしもし?』
「あ、お父さん?私、和彩」
『和彩、どうしたんだ?仕事中に電話なんて珍しい』
「紗南の病院、付き添ってもいい?晩御飯の準備はしてあるから」
『いいぞ。霧島さん家にも宜しく言っておいてくれ』
「うん。ありがとう、じゃあね」
プツっという音が聞こえてから電話を切る。
「どーだった?」
紗南が控えめな声で訊ねた。
「大丈夫。一緒に行けるよ」
「やった!」
嬉しそうに歩きながら沙都に話し掛けている。そんな紗南を少し鬱陶しく、でも優しく聞いている沙都は、いいお兄ちゃんだった。

