あの夏の日、君を想う

「入れよ、バレー部。やりたいことやれよ」
そんな事言われても……。私は紗南のことが大好き。見せつけるようなこと、したくない。
「いい。私は手芸部だから」
「和彩……。紗南のことも考えろよ。小さい頃からずっと一緒の友達が、自分のことでやりたいことを諦めてるって。紗南はきっと悩んでる」
紗都に言われて、気が付いた。
そうだった。紗南は同情されるのも、無理に気を遣われるのも大嫌いなんだ。私は、本当にバレー部に入ってもいいのかな……。
「紗都、ありがとう。紗南に話してみる」
「おう。やってみろ」
紗都は人の気持ちを読み取るのが得意だから、すぐにばれちゃうんだ。私が悩んでいたことも。
私はまた、レモンティーを1口飲んだ。
甘い香りが口の中に広がって、気分が落ち着いて行く。
その会話からは、私達は一言も話さなかった。