君が消えてから5年目の夏。私は大学3年生となった。

「和彩(かずさ)、ランチ行かない?」
声をかけてきたのは、大学に入ってから出来た友達、夢乃(ゆめの)。
「あぁ、ごめん。これから行く所あるの」
「えー、どこ行くの?」
5年前に片想いした人の実家、なんて言える訳がない。そんな事を言って、どんな反応をされるか分からない。
「地元。ちょっと用があるから」
「ふーん、行ってらっしゃい。連絡してね?」
「うん」
そう言って席を立つ。