電話を始めてから30分ほどの時間が過ぎていた。
「じゃあ、明日からはもうちょっと厳しめにしよっか」
「そうだな」
ここで終わるはずだった。
「てか、女子と電話とか初めてなんだよな」
「私も初めてだよ」
「結構楽しくない?」
少し意地悪な口調で翔が言う。
「うん。じゃあ時間あるならもう少し話さない?」
「おう!」
結局電話が終わったのは、初めてから3時間後だった。
話したのは、クラスの事、もうすぐある体育祭の事、とにかく色々話した。
…ついでに明日の電話の約束までしてしまった。
でも、これだけはわすれてはいけない。
翔には、好きな人がいる、ということ。