『関くん?…』
ふいに、私の右手首に触れたままだった関君の左手が静かに解かれ、その手はそのまま私の頬に伸びる。
ドキッ…何?ただ名前を呼ぶだけでしょう?
『朱音…』
確かに、ハッキリと私の名を口にした関君の手の甲が、ほんの一瞬頬に触れて、ゆっくり顎まで、滑べり落ちる。
その手から関君の優しさが流れてくるようで、胸の奥がキュッと痛んだ。
窓の隙間から、微かな潮の香りがする夜風。
聞こえるはずのない、自分の胸の鼓動が、関君に聞こえてしまうんじゃないかってくらいに、早まっていく。
その真っすぐな視線から、どうにも目が離せなくなる…と
『やばい…』
瞬間、関君は呟くと同時に、触れていた手をその場でギュッと握りしめ、身体を正面に戻し、両手でステアリングのトップを握りしめ、そこに自分の額を押し付ける。
『関君…どうしたの?』
『…何でもない』
『えっと…大丈夫?』
急に具合でも悪くなったのかもしれないと、心配になり覗き込もうとすると、今度は私を避けるように、運転席の窓側に、顔を背けてしまう。
ふいに、私の右手首に触れたままだった関君の左手が静かに解かれ、その手はそのまま私の頬に伸びる。
ドキッ…何?ただ名前を呼ぶだけでしょう?
『朱音…』
確かに、ハッキリと私の名を口にした関君の手の甲が、ほんの一瞬頬に触れて、ゆっくり顎まで、滑べり落ちる。
その手から関君の優しさが流れてくるようで、胸の奥がキュッと痛んだ。
窓の隙間から、微かな潮の香りがする夜風。
聞こえるはずのない、自分の胸の鼓動が、関君に聞こえてしまうんじゃないかってくらいに、早まっていく。
その真っすぐな視線から、どうにも目が離せなくなる…と
『やばい…』
瞬間、関君は呟くと同時に、触れていた手をその場でギュッと握りしめ、身体を正面に戻し、両手でステアリングのトップを握りしめ、そこに自分の額を押し付ける。
『関君…どうしたの?』
『…何でもない』
『えっと…大丈夫?』
急に具合でも悪くなったのかもしれないと、心配になり覗き込もうとすると、今度は私を避けるように、運転席の窓側に、顔を背けてしまう。



