Sweet break Ⅲ

好きな人に触れられるということは、こういうことなんだ。

ずっと悩んでいたのが馬鹿馬鹿しいくらいに、今ならわかる。

私達は、お互いに想い合う恋人同士なのだと…。

『関君』
『何だ』
『そういえば、さっき、私の名前…』
『…ああ、さすがに職場じゃマズいだろうが、今は…別に問題ないだろ』
『あれね、なんか恋人っぽくって、恥ずかしいけど、ちょっと嬉しかった』
『だからっぽいって、何なんだよ』

呆れたように、笑う関君。

その顔が、職場では絶対見せない、私だけに見せてくれる柔らかな笑顔で、つい嬉しくなり、ちょっとした我儘を口にして、墓穴を掘る羽目になる。

『ね、もう一回』
『は?』
『ちゃんと呼んでみてほしいな?…とか、言ってみたりして…』

半分ふざけておねだりしてみると、何故か思ってたよりも、真剣な眼差しでこちらを見る関君。

『参ったな…』

関君の小さなつぶやきが、聞こえた気がした。