Sweet break Ⅲ

”相手にもっと近づきたい…触れてみたい”と思っていたのは、自分だけじゃなかったんだ。

『関君も…同じだったんだね』
『ん?』
『触れてみたいのに、ちょっと怖い…みたいな』
『そうだな…ただし男と女じゃ、怖いの意味がちょっと違うだろうけどな』
『?…怖いの意味?』
『男は…いや、俺は、お前に触れたら最後…すべてが欲しくなって、簡単には手放せなくなるのが怖かった』

ドキッ

関君がにやりと笑った気がした…。

『すべてって…』
『安心しろ、もちろん今すぐ捕って喰うわけじゃない…ただ、案の定その証拠に、さっきからお前に触れてるこの手を、簡単に放せなくて、実はかなり困ってる』

その言葉に、先ほどからずっと自分の手首に触れている大きな手の存在を意識せずにはいられない。

『…嫌か?』

関君の私を気遣う言葉と同時に、触れている場所から関君の想いが流れ込み、その優しい温かさに思わず胸が熱くなる。

『…平気、ちょっと緊張するけど…嫌じゃない』
『そうか、まずは、第一段階クリアだな』

ホッとしたような表情を見せる関君。