Sweet break Ⅲ

今更ながらに、自分の安易な言動を後悔した。

関君も私も、もう中学生じゃない。

手を繋ぐことや触れ合うこと…その先だって、当然ありえない話じゃないんだ。

目の前に立つ人は、明らかに”大人の男”で、自分を見つめるその目に宿る熱は、単なる同僚に向けるものじゃないことくらいは、わかる。

『えっと…それは…ちょっと…』

何の覚悟も決まっていない自分は、関君から逃げるように視線を泳がせると、どうしたらいいのかわからなくなり、オロオロしてしまう。

普通に恋愛してきた大人の女性だったら、こんな時、どう対応するんだろう??

『バカか』
『……え?』
『本気にするな、冗談に決まってるだろ』
『冗…談?』
『送ってくから、早く乗れよ』

そういうと、関君は何事もなかったかのように、車のキーを開け、さっさと車に乗り込んでしまう。

嘘…まさか、揶揄われた…だけ?

朝から、関君の言動や行動に一喜一憂して、結局、ここまで恋人らしい進展も無いままに、今日が終わりそうだというのに。

最大限の勇気を出した私の気持ちを、また揶揄うなんて。

自分の中で、いくつかの複雑な感情が入り乱れ、同時にパチンと何かがはじけた気がした。