『受付には、毎日いろんな人がそれぞれ違う案件で来客するだろ。受付の仕事は、その一人一人の情報を分析して、瞬時に的確な判断と対応が求められる重要な仕事だ。当然、社内の誰がどこにいて、今どんな案件を取り扱っているのか、すべての把握と理解が必須になる』
『仕事の内容まで?』
『当たり前だ…受付は会社の顔、つまりそのレベルでその会社のレベルもわかる』
『凄い…』

正直、受付嬢がそこまでの高いスキルを必要としていることは、全く知らなかった。

確かに愛美さんだけじゃなく、他の受付嬢も、かなりの高学歴だという話は聞いたことがあるけれど、なるほど、そういうことだったんだ。

『ただ綺麗なだけじゃ、務まらないね』
『今日は、営業が今進めているプロジェクトについての勉強会だと言ってたな…おそらく来週その関係の大きな会議があるから、城ケ崎達も来客対応に備えるんだろう』

そう言いながら、関君は自身のシートベルトを引き、徐にエンジンをかける。

『ねぇ、関君』

さっきから少し気にかかっていたことを、このタイミングで聞いてしまう。

『…関君って、愛美さんのこと名字で呼んでるんだね』
『ああ、大学の同級生だからな』
『えっ…』

さらりと衝撃の告白。

『同級生って…』
『学部は違ったが、いくつか同じ講義も受けてた』
『嘘…だって学年は?』
『俺は、大学在学中に1年間、海外留学してたんだ、だから実は倉沢より歳は一つ上になるな』

知らなかった…関君、1つだけど年上なんだ。

しかも、愛美さんと同じ大学で、前からの知り合いだったなんて…。