『今日は、素の関君なんだね』
『お前に隠してどうすんだよ』

何気なく口にした関君の言葉に反応して視線を上げると、驚くほど柔らかな眼差しでこちらを見ている関君と、視線が重なる。

ドキッ…

『倉沢は想像通り、まんまだな』
『…ど、どういう意味?』
『いや、平日も休日も、職場のお前と変わらないんだな…ってさ』
『何よソレ、単純だってこと?』
『バカ、褒めてんだよ』

フッと笑い、私を見つめる穏やかな瞳に、早まる鼓動がどうにも治まらない。

『えっと…あ、私、ちょっと、手、洗ってくるね』
『…ああ?』

そう言うなり、スクッと立ち上がると、今いる広場を横切って、手洗い場のある公園の管理棟へ足早に向かう。

何の脈絡もない行動に、関君がポカンとしてそうで、怖くて後ろは振り向けない。