「どうした?怒ってるの?」



優しい声と頬をツンツンする指。
その一言や眼差しで私は何度も救われる。
「ううん、何でもない」と体を委ね甘えさせてくれるの。
私の機嫌の直し方をよく知ってる。



「文化人タレントだろうが歯科医師だろうが芹の中の軸が確立してるなら何の問題もないんじゃない?」



「確かに」



「でも僕はどんな芹でも格好いいと思うけどね」



「格好いい〜?」



「そう、仕事モードの芹は惚れちゃうくらい格好いいよ」



「それ褒め言葉?」



「うん、だから時々こうやって僕からのご褒美」



そう言って小さなダイヤのネックレスを手に持って見せてくれる。
びっくりして声も出ない私の首につけてくれた。



「絶対似合うと思ったから買っちゃった」



真っ直ぐ見つめて言うんだもん。
その瞳に映る私は骨抜きだ。



「いつの間に……ヤバ……」



「その顔が見たくてつい」



心がくすぐったくて、胸が温かくて、思わず抱きしめたくなる。
“愛しい”って素直に思う。
やめて、まだ心の声を聞かないで。
とっくに気付いてても読まないで。
私が愛してやまない人。