【続】0.0000034%の奇跡




何か上手く丸め込まれてる気がしなくもないけど、どんな作戦であれ私がもう関わる事はない。




そう、関わる事はない。




関わる………事は。




ない……はず…………







「よっ!セリちゃん!」




決して開きたくなかったカルテ。
歯科衛生士も歯科助手も皆苦笑い。
本当に予約取って定期検診に来たアイツ。



「よく来れたね」とやや呆れる。
どの面下げて来たのよ二重人格者め。
なんてことない顔しちゃって。
ムカつく、ムカつく、ムカつく。




相変わらず距離が近いっ!




「やっぱりこの目好きだわ」




「どうも」




「お願い、嫌いにならないで?」




「顔、近いから」




潤んだ瞳で見るなっ!
調子が狂う。
冷たくあしらっている私が何だか悪者に見えるじゃない。
診療態度が最低な医師に成り下がるわけにはいかないわ。
自然な笑顔に切替えないと。




「あ、雑誌の件……ありがとう」




シートを倒しながら言うと「えっ!」と起き上がる。
それ、危ないから。
こういう事言うと素直に寝てくれないのわかってたんだけどね。