「じょ、冗談だよ」
目をそらして立ち上がったら先にドアを閉められ逃げ場を失う。
えっと……エヘヘって笑っても誤魔化し効かないのよね?
ドア側を背にジリジリ詰め寄られて……両手を掴まれた。
真っ直ぐな瞳に捕らわれて私の体は1ミリも動けない。
「誰にも渡さないから…」
近付く唇を拒む理由が見つからず。
ううん、本当は欲しがってる。
その瞳に捕まりたくて、そのキスに溺れたくてわざと仕掛けた。
智くんのキスはいつも……腰が砕けそう……
唇が離れたらかなり強気で挑発するの……
「このキスも、ここから先も芹は手放せるの?サヨナラ出来る?」
イジワル……
そんなの考えただけで涙出ちゃうよ……
「ヤダ……イヤイヤ」
まるで駄々っ子のように抱きつく私を優しく受け入れるキス。
それはもう…とろけるほど甘くて優しくて……力が抜けてく……
ヘナヘナとヘタっていく体ごと支えられて全てを預ける。
もう…私が智くん中毒な事知ってるくせに……
わざと途中で止めて様子見て、あの言葉を待ってる。

