「向こうから声を?」
「控え室に押しかけられて……」
誘導尋問に素直に自供していく。
本当はカナちゃんに聞いてもらいたかったのかもしれない。
周りに誰も居ない事を確認し口を割る。
「えー!!」と案の定驚く声に必死に宥めその場を抑えた。
ほら、大好物な顔してる。
カナちゃんの方が顔紅いよ?
こっちは大迷惑な話なのにキュンキュンしてるよね?
「彼、めちゃくちゃ行動力ありますね?普通そこまで出来ないですよ?思ってても実行するにはかなりの勇気がいると思うし…立場もありながら…いやぁ、凄い」
そこ褒められても………
アイツにとっては隙だらけだった自分が情けない。
強引だったとはいえ自分にも非がある。
「で、槙田先生はどう感じたんですか?」
「え…?どうって……」
正直ぶん殴ってやろうと思ったけど動けなかった。
一瞬でもキスを受け入れてしまって本当に後悔してる。
智くんじゃないとヤダって思ったのに。
「泣いちゃったんですか?え、槙田先生可愛いっ…!」
そうよ、泣いてしまったのは不覚だった……
驚きと悔しさが混じっての涙……
すぐに突き飛ばせなかった自分への失望感……

