至近距離で見るには眩しすぎる……
囚われた眼に吸い込まれそう……
体がうまく動いてくれなくてもどかしい。
これ以上は耐えきれず視線を外した。
「わかった……ただしクリニックでしか会わないからね?患者としてなら…」
「ありがとう…」
ホッと胸を撫で下ろす彼と再び視線が絡むと「本当は行かせたくないけど」とドアを開けてくれた。
「じゃあ」と素っ気なく出て行く私。
誰かに見られたり会話を聞かれていないかの方が気になって仕方なかった。
彼だってスキャンダルだけは避けて通りたいはず。
私自身も守るべきモノがありすぎる。
テレビ局の地下駐車場。
一人になったら脳裏に蘇るあの感触……
強引だった唇……
掴まれた腕……
真っすぐな瞳……
熱い体温……
すぐにでも逃げれたのに……
ちっとも動けなかった体……
ハンドルに顔を埋めて記憶を掻き消す。
だから慣れてないのよ……
グイグイ来ないで
突拍子もない事しないで
理屈が生じていて、
理に適っていなければ瞬時に理解出来ない頭なの。
隙を与えたつもりもない。
でもされちゃったって事は隙があったって事。
大好きな智くんの顔が浮かぶ。
さすがにヤバイよね。
いや、あれは事故。
避けきれなかった不運の事故よ。
そう自分に言い聞かせてサングラスをかける。
エンジンをかけ車を発進させた。
頭の中をリセットして
自分の気持ちに正直に生きる道を選びたいと願う。
私が選ぶのは…………