【続】0.0000034%の奇跡




コンコンとノックが鳴ってスタッフさんが来たのかと思い何の疑いもなくドアを開けた。




「よっ!」と現れた人物に完全に固まる。
え?何で居るの?
黒川暖………





「まさかとは思ったけど同じ局内に居るとはね〜運命感じちゃわない?」と首を傾げられてもキュンとなんてこないから。
静かにドアを閉めようもんならたちの悪いセールスのごとく足を挟んで阻止してくる。




「ちょっと…!困るんだけど」




「足痛い…!今日走るシーン撮るんだけどな〜」




そんな事言われたら力を緩めるしかない……
さっきまでガヤガヤしていた廊下も人っ子一人居ない状態だ。
グッタリ疲れている所に更に追い打ちがかかる。




「ていうかこんな所誰かに見られたらさすがにヤバイのでお邪魔しまーす」と入って来てしまった。
相手は芸能人。
どう対応していいかも手探り。




とりあえず思いきり距離を取った。
メイク台の壁側まで下がって警戒心剥き出しにする。
前回のキスが頭を過ぎって「これ以上近付いたら大声あげるから」と突っぱねる。