【続】0.0000034%の奇跡




個室の空間で医療スタッフは3人。
「え〜2人きりじゃないの〜?」と不服そう。
ホストやナンパ目的の人たちにはよく言われる事だから慣れてる。



「はい、すみませんが私には歯科衛生士も歯科助手も必要不可欠なんです、スタッフの育成も兼ねてますのでご協力お願い致します」との説明も何回目だろうか。
特にしつこい人には必ず3人つくんだけどね。




「シート倒しますね」



ライトをつけて施術開始。
そしたらまた喋る。



「さっきの私服似合ってた〜マジで可愛いね?」




「口開けてください」




「この後デートしちゃう?」



「どの歯が痛みますか?」




「俺、歯より胸が痛いんだよね〜セリに恋しちゃってるから」




頬の筋肉がピクリと痙攣する。
誰かつまみ出してくれ。
私、この為に急いで帰ってきたの?
休み返上して?
スタッフも呆れてる。
しかし、患者には変わりないのだ。
いちいち反応してられないけど無視も出来ない。