【続】0.0000034%の奇跡




ドラマの主題歌だよ?
挿入歌でもエンディングでもなく主題歌っ!!
ドラマの顔じゃん。
ドラマ自体を左右すると言っても過言じゃない……よね?
無理だ……私には荷が重過ぎだし、第一早過ぎる。



「もしかして、断わろうとしてる?」



表情からよみ取ったのか、智くんに図星をつかれる。
優しく肩を抱いて落ち着かせてくれるこの仕草に何度救われてきただろう。
これで髪を撫でられたら私は腑抜けだ。



「正直、頑張り過ぎて無理はしてほしくない。芹は中途半端だけはしないのわかってるから。読み終わって自分の中で衝き動かすモノがなければその時は正直にそう伝えてお断りすればいいと思うよ?」




心地良い声のトーンが私を安心させる。



「もし……その逆なら?やりたいって思っちゃったらどうしよう?本当はそんな度量もないのに引き受けちゃいそうで怖いんだ……趣味の範囲で止めときゃ良かったって後悔すんのはヤダなって…」



「芹……やりたいって思っちゃったらどうしようって、もうそれが答えだろ?」



「え……!?」



「読み終わったら僕にも見せて?」



「あ……はい」



案の定髪を撫でられて優しく微笑む。
サッと体が離し、立ち去ろうとした智くんは振り返る。
しばし見つめ合うも言葉を発しないからアイコンタクトで促す。



「う……やっぱり止めとく」



智くんらしからぬ言動。



「どうしたの?」



「ううん、ちゃんと決まってからするよ」



「するって何を?」