レコーディング当日。
完成したデモを聴いた瞬間、鳥肌が立ったと同時に確かなものが覚醒した。
バンド形式なんて初めてだし、生演奏で音撮りとか贅沢すぎる。
自分で作った曲なのにまるで違う曲を聴いている気分。
プロに混ざって私のギターが加わる。
いわゆる最初の全員演奏の一発撮り。
後に各楽器ごとに撮るそうです。
そして、一番テンションが上がったのがボーカル撮りのブースに入った時。
テレビ等でしか見たことなかったマイクに、その前の網目模様のポッピングガード。
何の為にあるのかと思ったら、リップノイズを防ぐのとマイクと適度な距離を保つ役割があり安定した音を拾うことが出来るんだって。
まさか此処で自分がヘッドホンつけて歌う日がくるなんてね。
ボイスレッスンとか受けていないから不安もあったけど何とか納得出来る域まで到達出来ました。
「動画のままの声量だね、ヤバいぞコレは」
「加工なしでこれだけ歌えたら大したもん」
とスタッフさんに言われてとても嬉しかった。
日浦さんにも「プロになれば?」と何度か声をかけられたけど上手くはぐらかしていたら最後に「また一緒にお仕事しましょう」と言われて有り難くて泣きながら握手する。
また奇跡を紡ぐ貴重な時間を過ごすことが出来たんだ………

