寛大にくみ取って優しく頷く智くんの眼差しに、揺れ動く心は少し静寂を取り戻した。



「3つほど……譲れないことがあります」




あ、ヤバ……今日一小さい声だ。




「何でしょう!?何なりと!!」




社長さんたちの気迫に負けそう。




「1つ目は……私は今まで通りいち歯科医師であって本業は代わるつもりはありません、だから…こうして休日しかお時間は取れません」




「勿論です」




「2つ目は……これからもずっと主人がヘアメイクを担当します」




「承知しています」




「最後3つ目は、これからもずっと…私の担当者は月島ユイさんでお願いします!もし結婚して出産とかなればちゃんと福祉制度手厚くしてあげてください」




そう言えばユイちゃんが泣いてしまうことくらいわかってる。
でも、途中で担当者が代わるなんて嫌だし信頼はしてるから。
何度も3人から頭を下げられお礼を言われたけど、私たち夫婦こそ「宜しくお願いします」と丁重にお伝えした。




本当に………





本当に………





何ひとつ想像出来ない世界が





始まろうとしてる





何か………
凄いことになってしまいました