そ~っと近寄って来た智くんと目が合って………
再びギターを構えて「歌います」と言ったら慌ててカメラを回してる。
そんな智くんの隣にちょこんと座る瑚子の方が何だか落ち着いているように見えた。
初めて作ったオリジナルソングの完成版を披露する頃には恥じらいなんて何処かに吹き飛んでいた気がする。
イントロから歌い出した私の顔はとても凛々しく、澄んで見えたと後で智くんは言ってくれた。
指で奏でるメロディーと口から溢れ落ちる言葉たち。
時に強く、時に優しく、
まるで何かに憑依された私はキミの瞳にどう映っていたのか。
最後アルペジオで締めくくる部分で急に我に返った私は照れ笑いを浮かべた。
「撮れた?」
「バッチリ」
「ママのおうただいすき〜」と小さな拍手も頂きました。
隣の瑚子に何度も「ママすごいよね」と言ってる。
「まさか歌詞をつける日がくるなんて思わなかったけど…」
「でも、やってみてどうだった?楽しかったでしょ?」
「うん……不思議な感覚」
「聴いてる側は想像以上に鳥肌立ったよ」
面と向かって言われるのは正直穴があったら入りたい状態です。
過大評価しすぎだよ。
「何か……いざ作詞してみたら、こうなりましたって感じかな」

