“まだ歌って”
“終わらないで”
“平井堅のeven if歌ってください”
「ありがとうございました」って言って終わろうとしたらふとメッセージが目に入る。
ギターを降ろす手が止まってしまった。
もう一度構えた私を見ていた智くんも暗黙の了解だ。
それからドドド…とリクエストが相次いだけど最初のリクエストにリアルタイムで応えてみることに。
ん?
ていうか、めちゃくちゃ失恋の歌だ……
まぁ、いいか。
歌いたい歌を歌おう。
“うわ、リクエストに応えてくれてる…!”
“一瞬アカペラで歌い出すとこヤバすぎ”
“ずっと聴いてたい”
“ブレスさえ色っぽいし切ない…”
“曲によって鳴らし方も歌い方も違う…もうプロじゃん”
“ギターかっこいー”
“手を止めて聴いてしまう…”
“この容姿とこの声がめちゃくちゃ欲しい…”
“槙田先生…切ないです”
“この歌い方はズルい!惚れてしまう”
繊細な歌詞なだけに涙声になる。
沈んだ夕日に薄暗いバーのカウンターのような歌詞と重なり気持ちも高ぶっていく。
良い歌を歌うとコードを押さえる指も軽やかになる。
全身で奏でたくなる。
自然と歌詞が口からこぼれる。
うん、やっぱり弾き語り最高。
自分に合ってる。
「ありがとうございました」
最後に一礼し、ソファー横のスタンドにギターを立てる。
自分で動画を消してライブ配信は無事に終わった。
たくさんのコメントありがとうございました。

