次に起きた時にはお昼ご飯が運ばれていた。
お盆の横に楓先生からの手紙が置いてあった。


瞳ちゃん、おはよう。

しっかり眠れたかな?体調はどうですか?
お昼ご飯が置いてもらってあるから、食べられるだけ食べるんだよ。でも無理はしないようにね。
食べたらナースコールして、私を呼んでください。

北村


ということなので、まずはご飯を食べなければならない。
だけど寝起きだし、もともとそんなに食欲無いしで、ちょっと今は食べられなさそう。でも遠藤先生と頑張って食べるって約束しちゃったし、ちょっと体が起きるまで待ってみよう。


寝起きでぼーっとしているままなんとなく晴を探すと、晴はまだ寝ていた。
なんとなく気になって晴の様子を見に行くとすやすやと気持ちよさそうな寝息を立てて寝ている。

さっきナースコールしたときは咳もしてたし、顔色も悪くてどうしようかと思ったけど、先生たちの処置が良かったのと、薬が効いているのとで、よく眠れているみたい。


なんとなく晴の様子を見に来ただけだったけどそのままベッドの横に置いてある丸椅子に座った。


ねえ、晴?私さ、また晴のこと助けてあげられなかったね。ごめん。
あのさ、さっき楓先生と話してたんだけど、私が医者になったら晴のこと、助けられる?晴はそれを望む?私が医者になりたいって言っても嫌がらない?


そんなことをぼんやりと思いながら晴の手を握った。



「瞳ちゃん。」


呼びかけられて、ふっと意識が浮上した。
後ろを見ると、楓先生が立っていた。


「瞳ちゃん、ご飯食べてないじゃんー。」

「あ、ごめんなさい、今起きました。」

「そんなこと言って晴ちゃんの所に座ってるし。」


楓先生が苦笑いしてる。


「えーっと。」

「全然ナースコールが来ないからちょっと心配になって。」

「ごめんなさい。」

「大丈夫だよ。瞳ちゃん、ご飯食べよっか。晴ちゃんはもう少し寝せてあげよう。」

「わかった。」

「ちょっとスッキリした?寝られたかな?」


楓先生がサラッと私のおでこを触る。


「ちょっと下がってるかな?体調はどう?」

「さっきより元気だよ。」

「良かった。1人で食べるのもなんか寂しいだろうし、しばらくおしゃべりしよっか。」


喋ると食べるのが遅くなるけど、ゆっくり食べながら、いろいろ喋りながら、遅めのお昼ご飯をお腹におさめた。