なんとなく私の機嫌が悪くなったのを感じ取ったのか、
「ごめんごめん。」
と言いながら体温計を渡してきた。
いや、別に見たいわけじゃ…。
顔に出ていたらしい。
「あれ、違った?」
「別に気にはしてません。」
そうは言いながらもしっかり見たけど。琴美さんってどこか抜けているというのかなんというか…。
体温は38.2。昨日の夜よりはだいぶ下がった気がするけどまだまだ高熱の部類だろう。
「発作の後だし、音は昨日の夜より全然酷いね。
でも熱はちょっと下がったね。だるさは軽減された?」
「はい、すこしは。」
「でもまだ呼吸は辛いでしょ。ステート当ててなくてもヒューヒュー聞こえるし。」
「あはは…。」
何となく笑ってみる。
この音って外に聞こえてるんだー…。
知らなかった。
「6時過ぎか。8時半には家を出たいな。どうする?まだ寝れるだけの時間はあるけど。」
「うーん、二度寝したらきっと起きれないのでもう起きます。」
「そう?横になっててもいいけどどうする?」
「横になると呼吸が余計に辛くなるんですよ…。」
ちょっと正直に言えるようになってきたきがする。
「あ、そっか。ごめんね、私もまだ勉強中の身でまだ覚えきれてなかったわ…。」
なんかへこんでる。だけどちょっと立場が近くなったように感じられた。
「へへへ、大丈夫ですよ〜。」
「もうっ、笑い事じゃないんだから!」
「そんなこと言われたってー。」
「むう。それで、どうしよう?枕立てようか?それとも起きてリビングに行く?」
「リビング行きましょうか。お母さんはきっともう起きて朝ごはん作ってる時間なので。」
「はやいね?」
「お父さんが早くから起きてるので。きっと2人で仲良く準備してますよ。」
「あれま、じゃあ邪魔しない方がいいのかな?」
「邪魔も何もないので大丈夫です。」
ちょっと苦笑いする。
「そうなの?じゃあ行っちゃおうか。」
「はい、そうしましょう。」
ドアを開けると既にいい匂いが漂っている。
それと同時に琴美さんのお腹がグゥとなった。
振り返ってみると顔を赤くさせて
「だってお腹空いたんだもん…。」
と呟いている琴美さんがいた。
「いいじゃないですか、私もお腹すいてます。」
「お、いい傾向だね!沢山食べて体力付けよう!」
すぐこうなるんだから…。
つくづく私も学習しないよね、と思うのであった。



