私は寝起きがあまり良くない。遠藤先生の声が聞こえるけど眠たい。
なんとか重たいまぶたをうっすらと開ける。


「おはよう、瞳ちゃん!」

「おはようございます…。」


眠すぎる。先生が何か言ってるけど全然頭に入ってこない。
それが遠藤先生にもわかったのか、ベッドを起こされた。
これでだいぶ覚醒した。


「あ、鳴ったね。体温計ちょうだい?」


私、体温計挟んでたんだー…。
何も考えずに渡す。


「はい…。」


初めて私から渡してくれたって遠藤先生喜んでるけどきっと初めてじゃないもん。


「診察していい?」

「…。」


この言葉を聞き取って完全に目が覚めた。


「とりあえず脈取らせてくれる?」


すっと左手を出した時に違和感に気づいた。
え、なにこれ。
これみたら息が出来なくなってきた。苦しい。


「瞳ちゃん、落ち着いて。ゆっくり深呼吸してごらん?」


そんなこと言われたって無理、こんなに苦しいのに!
晴が飛び込んでくるのが見えた。


「大丈夫だから。ゆっくり深呼吸。楓、晴ちゃんお願い。」

「はい。」

「ハアハア…これ、ハア、なに、ハアハア。」

「点滴。夜中に喘息の発作が出かけてたから薬入れたの。」

「ハアハアハア、先生が、ハアハア、したの?」

「そうだよ。後で説明するから先に深呼吸して落ち着こう。ゆっくり息を吸ってー。そしたらゆっくりはいてごらん。ゆーっくりね。そしたらだんだん治まってくるよー。」

「スー…ハアハア、ハー…。ハア、ハア、スー…ハー…。」

「ほら、治まった。よかった。ビックリさせちゃってごめんね。」

「いえ、こちらこそすいません…。」

「瞳ちゃんが謝ることじゃないよー。瞳ちゃんにとって、点滴する時に目の前で針を刺されるのは怖いんじゃないかなって思って、留置針を使ったの。次点滴する時に針を刺し直さなくていいようにって思って。でも、知らない間に何かされた跡があっまら怖いよね。ごめんね、そこまで考えてなかった。これ、抜いちゃう?瞳ちゃんはどうしたい?」

「私を思ってしてくれたんですよね、ありがとうございます。落ち着いたらそんなにこれも怖くない気がします。針刺すのは怖いのでとりあえずこのままがいいです。」

「そっか、無理しなくていいんだよ?」

「全然無理してないですよ。」

「それならいいんだけど。回診、続きしてもいい?


「そういえばそんな話でしたね…。わかりました。」

「ありがとう、それじゃあちょっとまっててね。あ、朝ごはん食べてよっか。」

「はーい。」


そう言って遠藤先生は1度カーテンの外に出ていった。