しばらくして、遠藤先生と白井さんが来た。


「Hey girls! 調子はどう?ご飯は2人とも半分ぐらい食べられていたみたいだけど。」


なんかさー、このくだり凄く既視感を感じるような…。


「…琴美先生さ、それ好きだよね。文の初めに英語ぶっ込んでくるの。」

「えー、だめ?言語によって性格とかちょっと変わってくるじゃん。こっちのが軽いノリで話せるんだもん。」


不思議な理屈だけど、遠藤先生面白い。唇突き出して拗ねてるフリなんてしちゃってるし。
白井さんもクスクス笑ってる。


「いや、別にいいと思うけど?久しぶりだとちょっとビックリするけど。そんでもって、あんまり経験ないと固まるけどね?瞳のこと見てみ?」

「あれれ、ごめんごめん。まあそんなもんだと思って許してちょ。」

「私は大丈夫ですよ、なんなら英語教えて欲しいくらい!」

「瞳ちゃん、いい子だっ!」

この先生、本当に面白い。
遠藤先生、いい先生だよなぁ。


「さてと、そろそろ診察を始めてもいいかい?何回も悪いけど2人とももう1回熱測ってね。
白井さん、晴ちゃんのバイタルお願い。」

「はい。」

「瞳ちゃん、自分で測れる?」

「うっ、善処します…。」


やられたー!遠藤先生、目が笑ってる。口調も笑いを含んでいる。
ドキドキだ、頑張れるかな…。


「やだなー、そんな不安がらなくてもいいよ、また私が抜いてあげるから安心して。」


絶対からかってる。恥ずかしくて顔上げれない…。


「冗談はさておき、熱測ってる間に血圧とか測っちゃうからねー。はい、挟む!」


そう言って体温計を渡してきた。
はぁ…。
諦めて脇に挟んだ。冷たい…。
体温計が冷たいのか、はたまた私が熱いのか…。

横では既に遠藤先生が血圧を測り終えて脈を取ってる。


「まだ熱いねー、身体しんどいでしょ。」

「いや、そんなことは…。」

「説得力ないねぇ。」

「すいません…。」

「隠さなくていいんだよー。そうは言っても瞳ちゃん、嘘つくの下手っぴだからすぐわかっちゃうけどねー。」

「ええ?!」

「嘘つけない変わりに黙っちゃうタイプでしょ?」


大当たりだ…。
ほとんど初対面なのにどうしてわかっちゃうんだろう?

びっくりしている間に体温計がピピピッと音を立てた。

ああ、見たくない…。でも抜かれたくもない…。でも…。


「瞳ちゃーん、百面相してる所悪いけど、体温計もう抜いちゃったから安心して!」

「ええ!?いつの間に!!」

「え?さっき。」


またやられたぁ!私、成長しないな…。